以前コスモリサーチ社内向けに展開した3Dプリンタ使用方法の簡易的な手順を記載する.
これは一例であるが,社内では情報共有を積極的に行っている.
なおこの内容単体ですぐ3Dプリンタを使用できる程の情報量にはなっていないので注意.
・BCN3D”Sigma R19”について
https://dddjapan.com/products/bcn3d-sigma-r19
・使用の手順
① 制作する形の検討
② 3D CADで設計
③ ファイルの変換
④ 3Dプリント
① 制作する形の検討
まず、紙ベースでどんな形にするか決める.
詳細な寸法は一度プリントして現物で確認したほうが良いので,悩むくらいなら暫定で決めてしまったほうが良い.
以下,ポイント箇条書き
- 3D CADは始めると楽しくなってしまうので,発散しないように事前に紙ベースで検討を⾏う.
- 45°以上のオーバーハングはサポートがないと製造できないため,積層方向を意識して検討する
- 体積が大きいと値段や印刷時間が増えるので可能なら小さく作る.
- 高さ方向に伸ばすと印刷時間が延びるので,可能なら低くするor短い方向に積層する.
② 3D CADで設計
STL形式で出⼒できれば何でもいいが,初心者でも使いやすいRSコンポーネンツの無料3D CAD”DesignSpark Mechanical”がおすすめである.
https://www.rs-online.com/designspark/mechanical-software-jp
STEPデータの読み込みとSTLファイルの書き出しが可能で,ググって情報も拾いやすい.
以下,DesignSparkのポイント箇条書き
- STEP書き出し不可
- 図形への文字の書き込みができない
- 修正がSolidWorksに比べて難しい.
- AltiumのSTEPデータを読み込めるが,AltiumのSTEP出力には全部品の外形とvia等が付いてくるので重くなりやすい. PCBファイルをSTEP出力用にコピーし,viaを削除する,部品点数が多い場合は必要のない実装部品は消すなどした方が良いかもしれない.
③ ファイルの変換
STL形式で出⼒したファイルを3Dプリンタ付属の”BCN3D Cura”で読み込みGcodeに変換する.
https://www.bcn3d.com/bcn3d-cura/
④3Dプリント
3Dプリンタの使用例
・基板スペーサー
筐体に基板を取り付けるためのスペーサー.
両面テープとホットボンドで取り付ける.
もともとはゴムシートを切って貼っていたがその手間が削減,また位置合わせも兼ねている.
設計時間:4h
印刷時間:1h
材料費:100円程度
・基板スタンド
展示会で基板を斜めに置くためのスタンド.
部品とぶつからないようにAltiumで形を決めてから3DCADで製作した.
斜めの部分も45°に納めているのでスペーサーをプリントせずに作れた.
基板がずり落ちてしまうとICに負荷がかかるので穴径はタイトにした.
内部密度20%.
設計時間:4h
印刷時間:24h
材料費:1500円程度